総務部予防保健課 予防保健課の発足1

週明け月曜の午前中、大地は、御堂鍼灸院に居た。

 

「ミドーくん、週末はお疲れ様でした。今年の花粉症患者さん、準備はどうなの?」

「そうですねぇ。ウチの患者さんは皆さん、冬の養生に努めて下さってますので、今年はかなりマシだと思いますけどねぇ。夏冬関係なくトレーニングジムで汗流してサウナで汗流してっていう人はまだまだいるので、ダイチさんトコの食でフォローして頂けるとありがたいっすねぇ。」

「そうね。身体を動かして発散することはいいんだけど、やり過ぎはね。健康ブームは広まっても、季節感みたいなものはなかなか伝わらないわよね。料理の世界は旬の食材なんかがあって四季が伝わりやすいんだけどね。」

「韓流とかいって、真冬に唐辛子ばんばん使って汗流してって一時期流行った頃は、花粉症やアレルギーの患者さんひどかったからねぇ。去年あたりから生姜ブームが流行ってくれてちょっと助かりますねぇ。」

「治療院が忙しいのはいいことなんだけど、患者さんが多いっていうのは複雑ねぇ。啓蒙活動頑張ってね。」

「で、ツインさんの新しい部署の名前、考えました?」

「ミドーくんはどうなのよ。我々の意見も取り入れてくれるみたいだし。嬉しい話よね。」

「僕ですか。僕はシンプルで伝わりやすい方がいいんですよねぇ。なるべく東洋医学を知らない人たちが気軽に僕らの医療を受けられるよう、間口を広く設けたいんですよねぇ。一企業内で保健医療の部署を設置すること自体フツーじゃなんだから、むしろ意外なぐらいフツーの名前がいいのかなぁと。」

「私も同感ね。まずは敷居を低く、門戸を広くってのがいいわね。ま、そのあたり既にジョーちゃんが会社に馴染んで頑張ってくれてるし、ずいぶんハードルは低くなってると思うけどね。」

「僕は未病じゃなくて、もっと鍼灸や東医って名前でシンプルに表したら如何かななんて思いますけどね。」

「え?鍼灸保健課、東医保健課って感じ?何処が意外なぐらいフツーなのよ。ミドーくんも十分世間からズレてるからねぇ。聞く人からしたら十分あやしいわよ。」

「え〜、そうですかぁ?未病保健課よりはいいんじゃないですかぁ?じゃあダイチさんはどうなんですか?」

「私はね、予防保健課。病を日頃の行いの中で予め防いで、健康を保つ活動を推進するための部署よ。」

「ふーん、悪くないですねぇ。意外なぐらいフツーの名前。」

「とりあえず、今日の話し合いは13時だったわね。12時前にツインさんの食堂に行って昼ご飯も一緒に頂けるようお願いしてあるから。たまには社食がどんな感じで提供されてるか確認しときたいからね。」

「ダイチさんといると、食事に困らないから助かるな。」

御堂と大地は、ツイン大阪事務所に向かった。