総務部予防保健課 御堂鍼灸院3

五味子茶を味わっていると、奥から男性が出てきた。

「すいませ〜ん、お待たせしちゃいました。日々さんですね。先程は奥から失礼しました。初めまして、御堂と申します。お話は先ほど癸生河さんから伺ってます。ちょっとお待ちくださいね。別の患者さんの治療が終わったところなので。部屋すぐに用意しますんで。」

少し早口で喋る御堂先生、これまた勝手なイメージが覆された。ニコニコと笑顔だが、明らかにデカいというか分厚い。ラグビーなのか柔道なのか、鍛え上げられた前腕が袖からのぞいており、胸板の厚さが白衣の上からも見て取れる。

 

奥からお母さんに連れられて幼い男の子が出てきた。

慣れた手つきで紙コップを手に取り、ウォーターサーバーの水を飲み、お母さんに渡された絵本を棚に片付けた。

「しぇんしぇー、ありがとうございました。ばいばーい。」

お母さんはバックから取り出した冊子に自分で受付のスタンプを押し、財布の中の小銭を募金箱のようなケースに放り込むと、丁寧にお辞儀をして立ち去っていった。

 

「さて、お待たせしました、改めまして、御堂です。大丈夫そうですか?」

「あ、はい、初めまして、日々長次郎と申します。すいません、急にお邪魔しちゃって。今朝、会社で仕事を始めようとした時に、腰が痛くて動けなくなってしまいまして、ただ、その場で会社の人に応急処置してもらいまして、今はどうにか。」

鍼灸院の先生と俺の長いやりとりが始まった。